「楽園」の類義語
「楽園」という言葉がイイ。
この言葉にはどこか愉快でロマンチズム、さらに気楽な様子を想像させる力があると思う。
(ここでいう「気楽」とは一切の不安が無く、気怠さを毛ほども感じさせない事を言う。)
人によっては色彩豊かな花たちが目の前いっぱいに広がってる様子だったり、キュートな赤ちゃんに白い翼が生えてる見た目をした天使が空じゅうを飛びまわったりといった想像をするかと思う。
十人十色の楽園像があるとは思うがどれもネガティブなものではないはずだ。
僕の場合の楽園というのは、高揚でも消沈でもない気分。自分の周りでは常に優しくてロマンチックな出来事が起きているが、遠くでは恐ろしい事件や事故も起きている。またそれはもしかしたら自分にふりかかる可能性もあるが今はまだ平穏である。
そんな世界での精神状態。
自分でもよくわからないけどとにかく、ロマンチズムと気分の落ち着き、心の腐敗を防ぐ最低限の危機感。主にそれらがある状態を指し示す。
僕にとってはこれ以上ない高待遇。最高。これこそ楽園。
しかしここまで「楽園」の事をさぞかし尊いもののように語ったが実はそうでもない。いや間違いなく尊いのだが、「極楽」や「天国」といった自分達からは想像も及ばないほど遠すぎるが故に比喩表現として使われるほど自分達からは離れていない、ということを言いたい。
「楽園」というのは、実際には現実に落とし込めるほど手の届きそうな場所であり概念である。またそれが「楽園」の素晴らしいポイントなのだ。
ここまで自分でも意味の分からないことをつらつらと書いたと思っているが本題はここからだ。
「楽園」という言葉の類義語を探さなければならない。
なぜか。
上記で一生懸命語った「楽園」の意味する概念が、そろそろ僕の中で崩れようとしているのだ。それも自分のせいで。
これはどういうことかというと、
僕が「楽園」という言葉に感じていた不思議な感覚を今まさに言語化してしまった為に、極めてちょうどいい位置にあった「楽園」が近所のどこにでもあるコンビニエンスストアのような距離まで近づいてきてしまっている、もしくはそうなっていくのではないか、という強烈な不安がたったいま突如として生まれ始めているのだ。
ある日、チャーリーという子が新入園児として僕がいる保育園に入園した。
チャーリーとは適度な距離感で付き合っており、お互いの遊びには干渉しなかった。やはり文化も違えば遊び方も違うみたいだ。
大きくなり年長さんになった僕は、入園当初から大事にしていたオモチャを持って、そのオモチャの良さを拙い言葉でみんなに説明しまわった。
すると僕から離れたところで見ていたチャーリーが鬼の形相でこちらに向かって走り出し僕のオモチャを取り上げた。
なんと、チャーリーはそのオモチャを使いやすく改良し大量生産に取り組み始め、園のみんなに配り歩いたのだ。
もちろんチャーリーは僕にも改良型のそのオモチャを渡し、ニカッと白い歯を見せ笑って見せた。
...いや、このオモチャはもう僕のじゃない。使いやすく改良された偽物だ。もうだめだ。。。
上記を読んでもらったら分かる通りこれは僕の置かれた状況をかいつまんで説明した縮図のようなモノだ。
この物語の中の、チャーリーが鬼の形相で向かってくるシーンは一番の見どころだが、これはまさに「楽園」を失いかけている僕の今の状況と酷似している。
先ほど一生懸命に語り自慢気に見せびらかしてしまった「楽園」はおそらくチャーリーに目をつけられた。いずれは僕の「楽園」もチャーリーに代わる何者かに乗っ取られてしまう。
そうつまり、「コンビニエンスストアの距離感になる不安」というのは、今まさにここでこの記事を公開してしまったことにより何者かが「楽園」という言葉に別の意味や使いやすいシチュエーションなどその他もろもろを付随して偽物の『楽園』を作り、そうして出来上がったニセの『楽園』が、「地獄」や「ヤバい」「卍」などを代表とする実体が定かでない言葉のような感覚で使われ始め世に広く普及させられてしまうという不安なのだ。お分かりいただけただろうか。
きっとおそらくそうなってしまう。いや、間違いない。チャーリーは間違いなくこっちを見ている。
くそ、もうそうなってしまってからでは遅い。一刻も早く「楽園」に代わる言葉を見つけ出さねば。
「まてまて、そもそもこの記事を公開しなければ上記に書いた事の顛末をたどることはない。」
とツッコミたいとこだろうが、実際あなたならどうだろう。既に2000字近く書いていながらここまでの時間と努力を無かった事に出来るだろうか。いや出来ない。ここまで書いたら流石に引き下がれないだろ。
いくら「楽園」の為とはいえ・・・
....かといって正直今から「楽園」の類義語を探す元気はない。。
ましてやここから類義語が並べられていくのか、と思うと読むほうも読む気が失せることは自明だ。(こう見えて読者を意識している)
結果僕は物語の中の「僕」のように偽物のオモチャを渡されそれに甘んずるほかない。偽物の『楽園』を受け入れるしかなかったのだ。
...あれ、楽園の類義語を探そうとしたのになんでこうなったんだろう。
全く意味の分からないイカレた文章をここまで書けるとは自分でも思ってなかった。
いや、ここまで読んでくれた人本当にありがとう。
本当にみなさん今日も一日お疲れさまでした。(?)