いろんないろいろ

好奇心の赴くままに興味の持った話題について記事にしていこうと思います

食人族の村

京都の山中に少し不思議な村がありまして。

 

その村は中世イギリスの農村のような見た目をしておりまして、山奥にあるとは思えないもの珍しさと日本ではないような異国情緒が味わえるってもんで若い人を中心に大変な人気を博している村です。

いわゆるインスタ映えというやつです。

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村の名前は『ドゥリムトン村』

いたるところ全て英語で、村の端っこにポンッと捨てられたようなボロ家具も全部英国製。ユニバのホグワーツに見習ってほしいくらい細部に至るまで完全に英国仕様。

村に3日もいれば、自分はたった今イギリスにいるのでは、と思い込んでしまうくらいのクオリティなんです。村の人たちも伝統的なイギリス衣装を着ており、雰囲気もバッチリ。

ですがそんな村で恐ろしい事件に遭いました。

 

 

 

その村では客人をもてなす料理として特別なレストランが用意されています。

そのレストランでは、イギリス伝統料理「フィッシュ&チップス」や「ローストビーフ」「アフタヌーンティー」などが豪快に振るまわれ、来たお客はみんな満足した表情でレストランを出ていきます。京都の山奥でこんな美味しいもの食べられるなんて~(はんなり)みたいな感じでしょうか。

 

私も初めて食べるイギリスの伝統料理です。お腹も減っていたこともありローストビーフを注文しました。しばらくすると料理が出てきてテーブルの上に綺麗に配膳されます。

「いただきます」と期待に胸を躍らせ一口パクリ。そこでなんだか違和感を感じました。

 

そのローストビーフ、どうも血生臭いんです。

 

おかしいな~おかしいな~なんて思っているとそれが表情に出てしまっていたのか、前髪を長く伸ばした暗い雰囲気の店員さんがササッとこちらに近づき「どうかなさいましたかお客様・・・」と声をかけられました。

失礼ながらも少々不気味に感じ、すかさず「いえなにも・・・」と口を拭きながらいかにも英国紳士を気取って返事を差し上げました。すると店員は「失礼いたしました・・・」と私の元を離れ、他の店員とコソコソ話をしはじめました。

私はなにか嫌な予感を感じたので早々にこのレストランを出ようと思いましたが、”逆に焦りを悟られるとマズいな...”なんて勘ぐりも働き、急ぎすぎない程度に食事を済ませてわざとらしく「へぇ~」なんて呑気な感嘆を漏らしながら店内の造形を見回ったのち、お礼も言ってレストランを出ました。

 

しかしさきほどとは村の様子が一変しています。入店する20分くらい前までは多くの人でにぎわっていた光景がどこへやら。この季節の夕方にしては外は薄暗くなっており、人の気配がまったく一切消えてしまっていました。

 

伊達に何本ものホラー映画を見てきた訳ではありませんから、ただならぬ異様な雰囲気を察しまして。急いで村から立ち去ろうと出口に向かいました。

すると後ろから

「オキャクサマ!!」と非常に大きな声で呼び止められます。

あまりに大きい声に驚き、ふと後ろを振り向くと誰もいません。

 

”あ、これはまずい..”、そんな気持ちを脳内で言い切るか言い切らないかのタイミングで出口に向かい走り出した瞬間、なぜか先程まで村の端っこに置いてあったはずの壊れかけの木の椅子に蹴躓き派手に転んでしまいました。

 

「・・・痛っ...」と、すりむいた肘を抑えポケットから落ちたスマホを拾って起き上がろうとしたその時、「お客様・・・」と静かに呼ぶ声が頭上から聞こえました。

おそるおそる顔をあげると、そこには先程の髪の長い店員が両手にクロッシュを持って立っています。そしてその横にも、その横にも、両手にクロッシュを持った店員が合計で10人ほど並んでいたのです。

私と目が合ったその店員はニカッと笑い、そして10人全員が口を揃えてこう叫びました。

 

 

「「「「ビーフorフィッシュ!!」」」」

 

 

私は驚きと恐怖で声が震えながらも、美味しくなかったローストビーフを思い出し

「フ、、フ、フィッシュ!!!フィッシュ!!」

 

こう叫びました。その勢いで立ち上がり死に物狂いでなんとか村の出口にたどり着きました。その後店員が追ってきている様子はなかったように思います。

その後の記憶はあまり無く、気付いたら山の麓まで来ていました。

 

 

 

 

後に知った話ですが、以前よりあの村では行方不明者が続出しており、一説では村に訪れた人をさらって解体し精肉処理したその肉を客に振るまっていたのだそうです。

また味に難色を示した人がさらわれるターゲットになるそうなのですが、その理由が「肉が美味しくないということはその肉に消費期限が迫っている証拠で、新しい肉を用意しないといけないから」なのだそう。

 

あれからというもの、あの村には近づいておりません。

そしてあのとき「フィッシュ」ではなく「ビーフ」と答えていたら今私はここにいないかもしれません。

そして、10人全員が両手にクロッシュ持ってたらどうやって開けるんだよとツッコんでいたならば今頃私もローストビーフにされていたのかもしれないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それではみなさんご唱和ください。

 

 

 

 

 

イワコデジマ、イワコデジマ

ホンコワ、五字切り

弱気退散、カーッ!

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※全てフィクションです。とてもキレイな村でした。のどかな農村の風景にヨーロッパならではの建造物が立ち並ぶ姿は圧巻。京都の山の中なので車でしか行けませんが行く価値あります! 

▼ドゥリムトン村

 
 
 
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あと食事するなら「アフタヌーンティー」が絶対に確実にオススメ。